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ギャラリー2011年2月号に記事を掲載して頂きました。

ギャラリー2011年2月号に記事を掲載していただきました。

以下、記事を転載いたします。

(25ページの記事です)

「FIELD OF NOW-新人力‐

2月9日→2月12日銀座洋協ホール

「犬だと、想像で自由に遊ばせられるんです。その方が楽しいんですよ。」

そう言う若手画家・原太一は、実によく犬を描く。ライバルであり、目標でもあるという父の、抽象画家・原大介の作風とはかけ離れたものだ。乗物に乗っていたり、時には服を着ていたり、およそ実際の犬では出来そうもないポーズをとっていたりと、犬は活き活きと躍動的に描かれている。最近は人もモチーフに選ぶようになったが、やはり最も明朗快活に描かれているのは動物だろう。

 しかし原は、ただ犬を擬人化して描くのではなく、建物や乗物も同じ位に描き入れ、そして動物と人工物は混然と絡み合い1つの有機体であるかのような様相を見せる。「漫画等からの影響も強い」と自らも言うその作品は、動物が人工物を取り込んだようにも、逆に命を持った人工物が生き物を取り込んだようにも見え、画家の限りない想像力が存分に発揮されているようだ。

乗物をよく描く事については、

「『出発』のイメージというのでしょうか。もっと前へ進みたい、という気持ちが表れているのかもしれません。乗物は僕らを運んで行ってくれるもの。その先にはまた別の風景があって、未知の可能性を切り拓いてくれる、そんな気がします」

 想像世界と未知の可能性、この二つが、1982年生まれのまだ若い画家の等身大の芸術を表すものだと言えるだろうか。

 2月には09年から3回連続出展となる、銀座洋協ホールでの「FIELD OF NOW」で新作群を発表する。日々キャンバスに向かい制作に没頭する原は、何を目指すのだろう。

「絵を見る人が、シンプルに面白いとか、楽しい気分になれるものを作りたいですね。それから、自分が心の底から感動できる絵を描きたい。出来不出来はその時の全力の結果であって、絵で食っていくとか売れる売れないではなく、とにかく描き続けていきたい。続けていけば辿り続けるはずです。」」